初音小路(はつねこうじ)から名もなき道へ

初音小路のような昔ながらの小路をのぞきながら、その先に続く細い道へ。名前のついた通りから、さらに小さな路地へ入っていくと、町家の軒先や植木、古い看板など、観光地ではなかなか出会えない京都の日常が見えてくる。

「ここは何通り?」と地図を確認したくなるような、名もなき道もある。

でも、そんな道を歩く時間こそ、京都散歩の楽しみだったりする。

鍵善アートミュージアム

鍵善アートミュージアムは、正式には「ZENBI -鍵善良房- KAGIZEN ART MUSEUM」。祇園の老舗和菓子店・鍵善良房が、祇園から受け継いできた文化や美意識を次世代へ伝えるために開いた小さな美術館。2021年に開館した。

鍵善良房と美術館がつながる理由

ここが面白いところで、単に「和菓子屋が美術館をつくった」という話ではない。

昭和初期、鍵善良房の当主だった今西善造は、文化人や芸術家との交流を深め、とりわけ木工作家の黒田辰秋と親交を結んだ。黒田の作品に惚れ込んだ今西善造は、鍵善の店内改装を任せようと考えていたという。

その後も黒田辰秋や河井寬次郎ら民藝の作家、文化人とのつながりが鍵善良房に受け継がれていった。

だからZENBIは、作品を並べるだけの美術館というより、鍵善良房が祇園で育んできた「美しいものを暮らしの中で楽しむ文化」の延長線上にある美術館と考えるとわかりやすい。

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